あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や・ら・わ行



〔ま―がれつと(注)〕    
黄月s58p14    野生してマ―ガレットの咲く路傍かかるところをも今日は歩みつ


〔まこも(注)〕
軽風s7p89     細江をば汽船すぐるに刈られたる水田のきしの真菰なびきぬ―再掲
群丘s35p73    しづかなる黄にうらがれし真菰など冬日に照りて水寒からず
形影s44p96    田を植うるころにて豊かなる水になびく真菰も泥もにほひき
開冬s46p45    よもすがら千羽の雁は伊豆沼の真菰枯れふすところに眠る
天眼s50p21    みたり来てあそぶ潮来にひといろとなりて長けたり葦も真菰も―再掲


〔まつ(注)〕
軽風t15s2p7   赤松の十四五本もありぬべし故里しぬび我は来にしか
軽風t15s2p9   安らけき一日といはむ拾ひ来し松の葉をもて飯をたきつつ
軽風t15s2p9   松山ゆ拾ひ来りし松毬をここだもくべて昼餉食しけり
軽風s3p20     かわきたる砂浜の上にひとすぢに松の落葉のよりてある見ゆ
軽風s4p41     南風間なくしゆるる松の木に遊ぶ雀はすぐ去りにけり
軽風s5p59     四五本の赤松たかき畑ありて昼すぎしころ霜とけてをり
軽風s6p62     新しき自動車道を走りつつ海と思ふ方はつづく松山
軽風s6p68     松並木を限りて赤き塀のある遠き風景が食後の目に浮ぶ
軽風s6p70     赤松の林のなかに砂しろき細川ありて日影さしをり
軽風s7p90     宮わきの苔たひらにて一もとの松の若木はながき葉の垂る―再掲
軽風s8p93     春日てる松の林はくれなゐの躑躅の花に光もれ居り
歩道s8p19     この浜の一夜のやどり直ぐそばに松ふく雨の音を聞きつつ
歩道s10p32    とどろける渚にちかく松なみて帚のごとく枝は見えをり
歩道s10p33    松山の海にせまれる浅峡にいとなむ畑に大根は青し
歩道s10p47    松山につづきし曇みつつ居て我がまぢかくの波はさびしも
歩道s11p48    波頭たてるを見れば冬海は松並む上に暗くつづきぬ
歩道s12p68    松山にまぎれむとして鴉らの群れたる峡に麦黄になりぬ
歩道s13p91    門松にする松束が橋詰にうづたかくありしろき街川
しろたへs15p8   赤松の丘をひらきし奥城や青あざやかに紫陽花のはな
しろたへs16p23  日の光さやかに差して黄の芝におのおのの影もてり小松は―再掲
しろたへs17p45  赤松のたかき上より雪どけはしたたりしかば路に音する
しろたへs17p45  消えのこる雪の間に紅にあらはれて見ゆ松の落葉は
帰潮s22p10    松の葉はみづみづとしてゆゑよしもなくやはらかし春日となりて
帰潮s22p17    この初夏の日に赤土のひややけき路みえてをり松の間に
帰潮s22p25    かの丘はこもごもに風の音ぞするひとつは堅く清き松風
帰潮s22p31    幹赤き松黄葉せる銀杏の木みな厳かに暗くなりゆく
帰潮s24p73    松の上に色の輝く冬の虹さむき夕べの部屋をいづれば
帰潮s24p79    岩肌のあらはなるこの山のうへ松の木ひくく風に音する
帰潮s24p80    松をふく風のきびしき音しつつ瀬戸の潮を遠く見さくる
帰潮s24p92    伏流となりて石のみの荒き谷松山のまに長く傾斜す
地表s28p40    松木立きりてあらはになりしとふ墓をめぐりて笹のゆふ露
地表s28p41    赤松の秀でてたかき木々の下紅葉あかるきところを過ぎつ
地表s28p46    毛越寺にわれの来しとき松風は音をつたへて池の明るさ
地表s28p46    みちのくの遠きいにしへ毛越寺の礎石のひまに松古りて立つ
地表s30p84    砂丘の谷ひとところ松しげる古き松かさあまた落して
地表s30p99    能登の海いたぶる波の沖にして松しげりたる机島低し
群丘s32p22    石むるる渚にちかき松林みどりは冬の光にきよし
群丘s35p72    松の木の下の砂みち草枯に要塞の井戸すたれてのこる
群丘s35p72    岬なる松の林のなかの池秋あつき日に菱の葉しげる
群丘s35p72    たひらなる緑は松の砂防林秋のひかりに岬しづまる
群丘s36p85    移りゆく松風の音ききをればやうやくにしてまた強くなる
群丘s36p86    峡の田をこえて松ふく風きこゆわが庭の木々しづまる時に
冬木s38p24    青々と島のあひだにいりくみし海みえをりてわたる松風
冬木s39p41    ひくき松海桐花のしげる松山の砂には雨後の寒さのこれる―再掲
冬木s39p41    松群にせまりて砂を採れる崖機械の音の遠くこだます
冬木s39p47    浜ひろきゆゑ松のまに畑あり砂かわきつつ雪きえのこる
冬木s40p107   海ぎしの松をふく風はやければ絶えず余韻なき音のするどさ
形影s43p55    砂山の松に音なくただひとつ置く石を見れば濡るるその石
開冬s45p17    とどろきて風はやきかな時のまもひびきて松にとどまらなくに
開冬s45p39    風さむき天が森にて七月の松の新芽の銀を讃ふる
開冬s48p94    松山に入りて狐の棲む穴を見る梅雨ばれの暑きひるすぎ
天眼s50p30    木々ふかきなかに交はる松に鳴く春蝉の声とほりてきこゆ
星宿s54p10    晴れし日の渚をゆけば海桐花など松にまじれる葉に光あり―再掲
星宿s55p42    金山の松の木に鳴く蝉のこゑ坑をいで来てまれに聞こゆる
星宿s57p96    池の辺をゆく人まれに青芝の上の松の葉冬日に光る―再掲
黄月s62p93    朝あけて聞こゆるものにこだはれば見ゆるものなき遠き松風


〔まつばぼたん(注)〕
群丘s33p39    暑き日のつづく庭のうへおのづから松葉牡丹は午後花を閉づ
群丘s34p61    ゆふづけば松葉牡丹は花とぢてしづまりてゐる土の明るさ


〔まつむしさう〕
地表s29p74    あはれにて秋の彼岸の日にけむる松虫草は咲き続きたり


〔まつよひぐさ(注)〕
軽風s3p31     過ぎし日はこのあたりまで水漬きしか待宵草をともしみ摘みぬ


〔まひづるさう〕
地表s29p74    あからさまにまひづる草の朱実など秋日に照りて後も思はん


〔まゆみ(注)〕
立房s21p81    冬ちかき山にまた一木くれなゐの房実は輝りて檀たちたり
天眼s50p8     雀らは刈田にをれど川ぞひの赤き檀とかかはりありや


〔まろにえ(注)〕
冬木s39p62    さはやかに風ふきをりてマロニエの並木の落葉青野にうごく


〔まんじゆしやげ(注)〕
歩道s11p53    あらはなる秋の光に茎のびて曼珠沙華さくただひとつにて
しろたへs15p12  曼珠沙華むらがり咲ける花みれば盛すぎしは紫のいろ
群丘s33p41    畑にそふ干潟のみちは曼珠沙華すぎがたにして遠き波音
群丘s36p86    曼珠沙華さくところよりおりたちて光ゆたけし伊良湖の浜は
群丘s36p90    いちめんに赤きところは曼珠沙華ひとつの堤川原に終る
形影s41p16    海のべの畑の墹の曼珠沙華こぞれる青は風に吹かるる
形影s42p32    曼珠沙華いづこにも咲く村のみち潮鳴のおと空にきこゆる
天眼s52p74    水仙のさく渚みち片側は曼珠沙華の青墹をうづめて―再掲


〔みかん(注)〕
歩道s13p91    市に売るみかんもまづくなりたりと傍らに言ふ声をきき居り
立房s20p17    道のべに物売るなかにうづたかき蜜柑をみれば黄はあざやけし
立房s21p30    幼子が香のなき蜜柑くひてをり寒き昼にて外の風音
帰潮s23p49    沁むごとき蜜柑の花のにほひしてたもちし曇ゆふぐれとなる
帰潮s23p49    蜜柑さく庭のつづきにひとところ苗代青し昏れのこりたる
帰潮s23p49    ひたすらに蜜柑の花の香ぐはしき庭くれゆきぬ霧うごくまで
群丘s31p12    山いくつ青々として風かよふ蜜柑の花の香ぐはしきとき
群丘s31p12    道のべに白きうつぎの花さきて見ゆる山々は蜜柑の畑−再掲
群丘s31p12    人居らぬ蜜柑畑に花すぎしものはかすかの実を結びたり
群丘s31p12    花すぎし蜜柑畑をくだり来て山下の家の井戸水を飲む
群丘s32p25    青々としたる岬は蜜柑山黄の見ゆるまで船ちかづきぬ (四月作)
群丘s32p25    曇ぞら西より晴れて春の日に蜜柑黄に照るひとつ岬は (四月作)
群丘s32p25    いにしへの聖がをりし白髪の山ほがらかに蜜柑しげれり(四月作)
形影s41p12    青実照り青き葉の照る蜜柑畑島のぼりゆく右も左も
形影s41p12    蜜柑照る山をのぼれば島のまの海めのしたに見えて音なし
形影s41p12    秋の日は傾きしかば影となる蜜柑山の下の紺ふかき海
形影s41p12    通ひ鳴く鳥のこゑなき島の山あをき蜜柑の寒からなくに
開冬s47p78    巻向の山のつづきに黄柑の日に照る山も親しかりけり
開冬s47p79    山畑にひとときをりて黄柑の手に?くを妻はよろこぶ
開冬s47p79    黄柑の照る山畑に音もなし潮の流るる海見えながら
天眼s51p48    大正のころの蜜柑をしのぶまで今日食ひしものに味ひのあり
天眼s51p49    葡萄くふ歌を考へをりたるに柿林檎蜜柑秋あわただし―再掲
天眼s52p70    手にとりて爪を立つれば蜜柑より?く幼きころの香のあり
星宿s55p31    伊予の国大三島にてかぐのみの蜜柑のほかに成るものを待つ


〔みつまた〕
開冬s46p55    黄葉せる三椏の畑ちかづけば早春に咲くつぼみを垂るる
天眼s53p85    ありのまま咲くものはよし道のべの三椏の花れんげうの花


〔みづき〕
群丘s32p22    ふるさとの山のみづきの赤き枝こころにいとまありて恋ほしむ


〔みづごけ(注)〕
群丘s36p96    ほとばしり湧きいづる水いくところ水蘚青き岩むらにして ?


〔みづな(注)〕
歩道s10p40    きざみたる水菜の茎を友と食ひみちのく山に一夜ねにけり


〔みづなら〕
立房s21p47    ミヅナラやイタヤカエデが梢より風にうごきて若葉さやけし


〔みづばせう〕
歩道s8p13     漸くに暗きに見ゆる草むらや水芭蕉あり葉はものものし


〔みづひき〕
開冬s47p77    帰らんとしてかへりみる水引の昨日より今日は紅の穂長し
黄月s60p72    水引のくれなゐの花見えがたき道を帰りて一日終る


〔むぎ(注)〕
歩道s12p68    海の波みゆる峡の麦畑日に照らされて黄はうらがなし
歩道s12p68    松山にまぎれむとして鴉らの群れたる峡に麦黄になりぬ−再掲
歩道s12p69    麦畑のかわきし戦ぎききしより一月ちかく経ちて居るべし
歩道s14p116   森いでて前にひらけし麦畑その空にして鵜の鳥はとぶ
立房s21p40    しろがねの如き光をたたへたる朝の麦畑にいでて来にけり
立房s21p49    くもりたる色をたたへし湖は穂にいづる麦の上に見えけり
立房s21p86    街なかのこの畑にも麦を踏む人をりて手をうしろに組めり
帰潮s22p10    うらがなしく風のなぎたる夕暮のかかるいとまに麦はのぶるか
帰潮s22p11    今しばし麦うごかしてゐる風を追憶を吹く風とおもひし
帰潮s22p18    むしあつき午後の曇に麦の穂はいまだ幼し淡々として
帰潮s22p19    まのあたり過ぐるものありこのゆふべ若き穂麦の上をかよひて
帰潮s22p21    さわだちて吹く風のなか青草も刈るべき麦も見えてなびかふ
帰潮s23p40    かぎろひの夕べとなりて麦畑の麦に茜のうごくひととき
帰潮s23p41    麦畑にのこれる雪のさやかなる夕明りにて麦やはらかし
帰潮s23p53    麦の穂をふく風のおと日食のいくばく暗き道を来しかば
帰潮s24p81    極楽寺の石のきざはしのぼるとき右も左も晩春の麦
帰潮s24p83    大野山まぢかに曇り逝春の麦の畑は都府楼のあと
帰潮s24p84    しろがねの麦の穂立のみゆるとき都府楼の石に腰をおろしぬ
帰潮s24p94    麦わらの帽をかぶりて秋にはにたつ鶏を養はんため
地表s28p40    路のべに麦の萌えたる畑ありゆふべの湿りすでにいたれる
形影s42p23    ここにても麦畑は稀になりたるか穂にいづるまへの青き麦畑
開冬s48p91    麦仰ぐ季にいまだも病むわれは能満寺のほとり歩みて帰る


〔むくげ〕
軽風t15s2p16 塗はげし堂ひとつたち庭すみに今さかりなる白木槿の花
帰潮s24p90    しづかなる曇となりぬむらさきの木槿の花が窓より見えて
帰潮s24p93    咲きつぎし木槿の花もいつとしもなく秋庭に終りてゐたり
帰潮s24p98    木槿の花あつき光に咲きそめてあくがれのなき晩夏といはん
地表s26p12    木槿の花さくべくなりてかすかなるこの匂にも吾は息づく
地表s28p38    おそ夏の光まばゆく照る庭にあはあはとして木槿花さく
冬木s39p54    日がたけて雲ひかる下木槿などときながく咲く花あはあはし
天眼s52p67    公園の水場のめぐりいつ来ても咲ける木槿の花多からず
星宿s55p39    新しき木槿の花を見るときは今年梅雨あけの光まばゆし
黄月s59p47    花白く赤きしぼりのある木槿日を経て白のひといろとなる


〔むべ〕
黄月s59p54    ゆきずりにみとめし郁子に手をふれて人なつかしむ冬の来るころ


〔めうが〕
立房s20p10    刻みたる茗荷を食ひぬかすかなるこの喜びを一夜たもたん
地表s29p71    わが友の携へて来し茗荷の子香にたつものを味噌つけて食ふ
天眼s53p101   朝々の味噌汁に浮く茗荷の香雨ふらぬ夏やうやく更けて


〔も(注)〕
群丘s33p41    しづかなる潟とおもへば引潮のながれの音す青藻なびきて
群丘s33p41    うづたかく干潟にかわく藻のうへに外海の波の音がきこえる
群丘s35p74    さかひなく水湛へたる田のつづき藻のなびきゐるながれは水路
開冬s46p44    この岬の海のしづかさ色彩のある藻が潮にしたがひ移る


〔もくこく(注)〕
開冬s48p102   木槲の色づく庭に去年の夏山中に鳴きし小鳥来てをり


〔もくれん(注)〕
歩道s14p118   木蓮のちれる花びら井戸水とともに掬ひて手にとる吾は
しろたへs16p22  木蓮の空にあかるき白花のひとつひとつが動く風にて
しろたへs16p24  夕光にあからさまなる木蓮の花びら厚し風たえしかば
群丘s32p24    そのこゑは木蓮の花にひびくなり晩春の庭に蟇ひとつ鳴く
群丘s35p67    夕暮るる庭にむかひて黙しをり木蓮の花しきりに動く


〔もちのき(注)〕
開冬s47p67    冬青の実のくれなゐにいちはやく光さすとき残歳はなし
開冬s47p67    季の運りうながす雪とおもはんか晴れて冬青の朱き実はなし
開冬s48p99    新しき年鼎々としてきたる冬青の朱実の照る窓の外
天眼s50p26    寒き日にやうやく馴るるさだまりを得つつ朝々の冬青のくれなゐ
星宿s57p96    もちの木のほとりに憩ふ葉のひまが星空のごと青きひるすぎ


〔もみ〕
しろたへs15p9   樅の太木榧の太木にたえまなき風かとおもふ波ぞきこゆる
立房s21p48    風わたる音のさびしき樅の木も蝦夷松の木もまじり生ふる山
群丘s32p27    樅木立くらき木下をのぼりゆく落葉の朽ちて泥ふかき山
冬木s39p62    葉のかたき樅の林をすぎしかば山の空気にその葉音する
形影s42p30    たちまちに晴れて大台が原山は樅など木々の葉に光あり
形影s42p30    つばらかに樅の房実の黄のゆるる大台が原の一ついただき


〔もめん(注)〕
星宿s55p35    相隣る林媼の跡花赤き木綿のあればしばし手を置く


〔もも〕
帰潮s23p43    今日の雨あまねく降りてくれなゐの桃の花さく低丘は見ゆ
帰潮s23p43    鴨方の池をめぐりてひくき丘桃はいまだも紅あはし
帰潮s23p43    鴨方に三日経しかば桃の花咲くべくなりぬ丘の畑に
帰潮s23p43    池岸にはやく花咲きし桃畑おのおのの木は影を持ちつつ
帰潮s23p44    鴨方の道をかよひて桃の花明るく咲けるところを歩む
帰潮s23p44    おもむろにととのふ桃の紅はめにたちそめて鴨方を去る
帰潮s24p78    わがこころ満ちたらふまで咲く桃の花の明るき低丘いくつ
帰潮s24p78    曇より風ふくときに鴨方の池の向うの花さへうごく
帰潮s24p78    あたたかき花の香のする桃畑午後の光は花を照らしぬ
帰潮s24p78    桃畑の土乾きつつ枝ごとにくれなゐの花こぞり咲くはや
帰潮s24p78    曇ぞら傾きかけし日の見えて桃さく丘を越えんとぞする
帰潮s24p79    遠近に桃はさかりの紅のわがあたりなる花の明るさ
帰潮s24p79    桃の花みつつ歩みて丘を越ゆいまだ飽かぬに足疲れつつ
帰潮s24p79    桃の花あかるくつづく丘のなだり喉かわきつつ吾等くだりし
帰潮s25p104   桃の木はいのりの如く葉を垂れて輝く庭にみゆる折ふし
帰潮s25p106   つゆあけとなりたるかなや桃の木は暑き光に葉をみな垂れて
地表s27p20    日の照らふ庭のいぶきに桃の木の葉は垂り妻の眠りを誘ふ
地表s27p26    桃の木のはやき落葉をしたる枝ある時にその枝はかがよふ
地表s27p28    冬空にわたる余光のきよきとき庭にして桃の木の枝ひかる
地表s28p31    桃の木の枝にしづくの光り居る昼すぎの庭ふる雪のなか
地表s29p59    放射能ふくめりといふ昨日の雨いま桃の葉に降りそそぐ雨
地表s29p76    落葉してまだ新しき枝々の露にぬれゐる庭の桃の木
群丘s31p14    あはあはと日のさしてゐる竹群の梢も桃の梢も残暑―再掲
冬木s39p44    春一番といふ風ふきし日のゆふべ黒き雲あかき桃に日がさす
星宿s54p11    道のべの桃四日経て花ほほけ雲のごと軟かに見ゆるころほひ