下関市唐戸 海響館前(早朝の風景)




歌  碑




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副  碑





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テキスト ボックス: いのちある物のあわれは限りなし
光のごとき色をもつ魚
                  佐藤 佐太郎

「生き物は皆それぞれ美しいがいま見る魚は特に美しい。
(光のごとき色)は論理を超えた詩の言葉である。」(自註)
昭和三十一年五月、佐太郎先生が下関市長府外浦の水族館を訪
れたときの作です。
歌集「群丘」所載、のちに「及辰園百首附自註」にも選んだ作
者中期の傑作の一首です。
佐太郎先生は若くして先師斎藤茂吉の直門となられ、みずから
「純粋短歌」の清明卓抜な歌論をたてました。とくに自然一切
と時間、空間を「一瞬間一断片」の輝きとしらべに要約すると
された論と実作は、大正・昭和の歌壇の重い存在となりました。
下関にはさきに平成六年、先生自筆の歌碑、
「ひとかたに流るる潮の見ゆるまで 中空の月海峡に照る」が
あり、歌集ではこのたびの作品と並んで採録されています。
こうして、一は天象、一は いのちのある物と相呼応して対偶の碑
をもつことは、大きな喜びです。
二十一世紀、海響館はこの短歌のようにいのちある物を永く永
く限りなく見せてくれることでしょう。

           平成十三年四月吉日
                 歩道短歌会同人 下関支部長
                          兵藤 正登司 撰文

兵藤正登司 撰文



平成16年11月6〜7日撮影(佐藤佐太郎先生下関歌碑十周年短歌大会)
撮影者:香川哲三(2葉目・4葉目を除く)