香川末光氏所蔵



テキスト ボックス: をりをりに春蝉の鳴く島山を来れば明治の砲台のあり(来島海峡 昭和四十年五月五日於今治 色紙)歌集『冬木』では「のあり」は「のこる」 テキスト ボックス: 島めぐる潮さわがしくなりしかば遠くにも光顕つ流見ゆ外四首(来島海峡 昭和四十年 原稿用紙)
テキスト ボックス: 海雲のほとりに岩のしづかなる渚を踏みてわれは寂しむ(仏が浦 昭和四十四年七月 色紙)歌集『形影』では「ふみて吾はさびしむ」
テキスト ボックス: 冬山の青岸渡寺の庭に出でて風に傾く那智の瀧見ゆ(歌集『形影』   
色紙)
テキスト ボックス: 杖をもつ人いくたりか道に逢ふわれに似て快き對象ならず(歌集『星宿』では「もつ」は「つく」、「快き」は「こころよき」 和紙便箋) テキスト ボックス: 木々古りし三輪山の天
寒くして行く山の邊の道あたたかし(歌集『開冬』では「行く」は「ゆく」、「山の邊」は「山のべ」 色紙)
テキスト ボックス: ・生日を過ぎてあらたまる思ひせし衰老凛々と歳暮れてゆく(昭和五十七年 『星宿』では「暮れ」は「くれ」)
・衰老の身をかへりみて日を送る人をとがめず天をうらまず(昭和五十六年 『星宿』では「とがめず」は「にくまず」)
・無為の日の変化のひとつ柿の木に蝉強く鳴くところを通る(昭和五十六年 『星宿』)
・枝にある柿の実花に似るころとなりて健やかに蛇崩をゆく(昭和五十五年 『星宿』では「枝にある柿花に似るころとなり老いて霧中に見る花に似る」) 以上四首は葉書